Shield Design
現在、治療用の放射線としては、X線、電子線、陽子線、重粒子線、α線、β線、γ線、中性子線などが用いられています。
また、昨今はこれまでの汎用リニック(ライナック)だけではなく、トモセラピー装置やサイバーナイフ装置、Oリング型放射線治療装置、MRI画像誘導型放射線治療装置(MRリニアック)等につきましても各機器メーカー様からご信頼頂き、設計・施工実績を積み重ねています。
レイテックでは、建物のコストや設置の可否に直結する躯体の厚さや遮蔽鋼板の厚さを、遮蔽計算を基に総合的にご提案させて頂きます。
放射線遮蔽工事とは、比重の高い素材(コンクリート、鉄、鉛など)で放射線治療室全体を囲い、放射線が外部に漏洩しない、または漏洩線量が法的な規制値以下に抑えることを指します。
さらに放射線治療室への出入口にも放射線を漏らさないための特殊な遮蔽扉が必要となります。
扉の製作には遮蔽材料として、鉛やポリエチレン(ボロン10%入り)を使用し、放射線治療装置のエネルギーや使用時間によって遮蔽体それぞれの厚みやバランスが変わってきます。
通常は鉛10~20mm程度、ポリエチレン80~150mm程度の遮蔽体が必要となり、扉1枚の重量が1トン~3トン程度になります。
また、放射線治療室に貫通する空調ダクトや設備配管類にも遮蔽対策が必要となり、遮蔽扉と同等程度の厚さの鉛やポリエチレンで天井内に遮蔽棚を施工し、設備配管等が貫通する部分を覆うことが必要となります。
新築工事 遮蔽鉄板
改修工事 遮蔽鉄板
X線室鉛ボード貼り
ダクト遮蔽棚
小規模クリニックから大学病院まで必ず医療施設には存在し、主に画像診断が目的の検査室です。
一般的には鉄筋コンクリート(厚さ150~250mm)または鉛板(厚さ1.5~3.0mm)で 室全体を囲いエックス線遮蔽室を形成します。
ただし、エックス線には方向性がありますので、遮蔽計画には注意が必要です。
当社では保健所向けの遮蔽計算書・設置届の作成、漏洩線量測定も対応いたします。
主にがん等の悪性腫瘍を治療するために、高エネルギー放射線を腫瘍もしくは全身に照射する治療室です。
遮蔽のためには室全体の壁及び床、天井を厚さ1500mm程度のコンクリートで覆い、かつ利用線錐方向には 厚さ400~500mm程度の鉄板を設置します。また、出入口扉やダクト等の貫通部にも鉛やボロン入りポリエチレンなどでの遮蔽対策が必要なため、かなりの専門知識を必要とします。
当社では文部科学省向けの放射線障害防止法に係る使用許可申請書などの作成もお手伝いいたします。
この検査は、ブドウ糖と放射性同位元素との化合物を体内に注入し、がん細胞に集まったブドウ糖(放射線)を計測することにより、主にがん細胞の発見を目的としたものです。また、体内の機能や代謝障害の発見も可能なため、アルツハイマー病等の診断にも役立ちます。
X線CTでも同時に撮影することにより、PET-CTとよばれることもあります。
PET室の遮蔽には通常コンクリートを用いますが、待機室や管理区域境界の壁を乾式で計画する場合には、鉛厚が5~25mm程度になることもありますので、充分な注意が必要です。
自動車のエンジンや航空機機体の溶接部は、エックス線を用いた非破壊検査が行わる場合があります。
この場合にもエックス線の漏洩を防ぐために、遮蔽室を形成する必要があります。
通常は医療用のエックス線装置よりも出力が高いため、鉛板であれば厚さ5mm~10mm以上の遮蔽が必要となります。
遮蔽鉄板 厚さ400mm
鉛板 厚さ10mm
鉛ボード(鉛 2mm + PB 12.5mm)
計画に必要となる下記条件をお伺いして、与条件の整理を行います。
ヒアリングした与条件を基に遮蔽計算を行い、追加遮蔽工事の要否を検討します。
遮蔽検討の結果、追加遮蔽工事が必要となった場合には既存建物が追加遮蔽工事に耐え得るか検討します。
検討には既存建物の図面が必要となります。
(構造計算書が必要となる場合もあります。)
1ヶ月
遮蔽検討、建物検討、コスト検討が問題なく完了し、新放射線治療装置の導入が正式決定した時点でRI規制法(旧放射線障害防止法)にかかる原子力規制委員会向け変更許可申請書の作成に取りかかります。
申請書の完成後、ご施設様より原子力規制委員会に提出して頂き、数回の内容修正指示・修正の後に本申請となります。
変更許可申請書の作成に1~2ヶ月、原子力規制委員会での申請書受理から許可まで3ヶ月程度を要しますので、プロジェクトの工程には余裕を持った日数の確保が必要となります。
※RI規制法(放射性同位元素等規制法)以外にも、医療法、労働安全衛生法、電波法にかかる申請・届け等が必要となります。詳細につきましては、別途お問い合わせください。
2ヶ月
申請書の作成と平行して工事の詳細設計を行い、施工図の作成及び部材の製作に取りかかります。
2ヶ月
原則、原子力規制委員会からの変更許可が下りた後(許可書発行後)、改修工事への着工となります。
(その他、医療法にかかる一部変更許可が下りていることが必要です。)
なお、着工までに既存放射線治療装置の撤去・処分が必要となりますが、既存装置のエネルギーによっては、
公益財団法人 日本アイソトープ協会に放射化物の集荷を依頼する必要があります。
経験豊富な現場管理スタッフが、工事の進捗に合わせて現場確認、検査を行います。
特に遮蔽工事を施工する場合には、遮蔽材のディティールや精度管理、コンクリートの比重管理、施設検査時に必要な施工写真や遮蔽材の材料証明、その他必要書類の取りまとめなど、放射線遮蔽工事に対する高度な知識と経験が必要となります。
2ヶ月
工事完了後、医療機器メーカー様により装置を搬入します。
装置搬入後でしかできない残工事を施工し、機器メーカー様の組立作業に取りかかります。
機器メーカー様による装置組立が完了後、一旦、規定通りの放射線ビームが照射できることを確認し、放射線線量測定(自主検査)を実施します。
また、その後の登録検査機関による施設検査の立ち会いにも対応します。
施設検査合格後、機器メーカー様によるビーム調整、データ取り、取り扱い説明を実施し、装置をお客様に引き渡します。
3ヶ月
装置お引き渡し後は、お客様にて放射線治療装置及び治療計画装置の臨床使用を想定したコミッショニング(データ測定、ビームモデリング、検証試験など)を行い、問題のないことを確認した上で実際の治療を開始します。
運用開始