Shield Design
電磁波シールドとは、外部から到来する電磁波及び内部で発生する電磁波を遮蔽することを指します。
一般的には金属などの導電性材料で室全体を覆い、シールドルームを形成し外来電磁波を室内に入れない、または内部で発生する電磁波を室内に閉じこめて外部に漏らさないことを目的とします。
また、電磁波(広義)とは、大別すると電波(電界)と磁気(磁界)に分かれ、その周波数や性質によって対策方法が異なりますので、それぞれにあったシールド施工計画が必要となります。
導電性の高い素材(亜鉛鉄板・鋼板・アルミ板等)で構成。主に電磁波を表面反射させて遮断するもので、遮蔽効果は材料の厚みに左右されることはなく、銅箔やアルミ箔を用いることもあります。原則として、床、壁、天井の6面を囲うことが必要です。
透磁性の高い素材(パーマロイ・電磁純鉄・珪素鋼板・アモルファス等)で構成。主に磁気の通り道をつくることで、内部への侵入を防ぐもので、遮蔽効果は材料の種類や厚みに左右されます。
床、壁、天井の6面を囲うことが最良ですが、遮蔽効果をあまり要求されない場合は、部分的に省略することも可能です。
MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置とは核磁気共鳴という原理を利用した医療機器で、人体に強力な傾斜磁場をあてることにより、主に人体の水素原子から発せられる微弱な電波信号を画像にする装置です。
よって、MRI室外部から到来する電磁波を室内にいれないため及びMRI装置からの強力な電磁波を外部に漏らさないための両方の目的で電波シールドルームが必要です。
また、強力な磁力線がMRI室外に漏洩し他の検査機器や人体(心臓ペースメーカー)に影響を与えることを防ぐ目的で、部分的または室全体に磁気シールドが必要な場合もあります。
脳波計とは頭部に電極を装着し、脳の電気活動を記録する装置です。
微弱な電気信号を波形にしているため、室外からの外来電波を脳波室内にいれないための電波シールドルームが必要です。
通常の聴力検査室であれば電波シールド工事は特に必要なく、防音工事のみで問題ありません。
その場合には、高レベルな遮音性能が要求されますので、床は浮き床構造とし、壁・天井等についても防振ゴム等で躯体と絶縁する必要があります。
また、空調ダクトについても消音チャンバー等を設置し、クロストークを防ぐ対策が必要です。
ただし、平衡機能検査や他の生理検査を一つの検査室で兼用する計画の場合には、上記の防音工事に電波シールド工事を付加した仕様が求められます。
電子機器の研究開発部門や品質保証部門で、他の機器やシステムへの妨害波を抑えたり機器自身が妨害波を受けても性能低下がないか確認をするための電磁シールドルームが必要です。
(EMC対策、イミュニティ対策)
半導体工場での電子線描画装置や研究施設での電子顕微鏡は、周囲の環境磁界の影響を非常に受けやすい装置です。
そのため、送電設備や電車などからの変動磁界を抑える磁気シールドが必要になる場合があります。
また、研究施設で有機化合物の解析などに用いられるNMR装置は医療用のMRI装置同様、非常に強い磁場を発生するため、周囲に影響を与えてしまうことがあります。
このような場合にも漏洩磁場を抑える目的の磁気シールドが必要です。
前者の場合には透磁率の極めて高いパーマロイ(鉄、ニッケル合金)を用い、後者の場合には一般的に電磁鋼板を用いて磁気シールドルームを形成します。
オフィスビルや通信施設内での無線LANやPC本体・モニター・キーボード接続ケーブル等からの漏洩電磁波はさまざまな機密事項を含んでいます。
その電磁波を傍受されることにより国家や企業、個人の情報が漏洩することを防ぐために電磁シールドルームが必要です。(テンペスト対策)
また、電気室や配電盤・ケーブルラック・EPSなどの近傍は商用周波数(50/60Hz)の交流電流が流れることにより交流磁界が発生します。この交流磁界を遮蔽し、周辺機器や人体への影響を抑えるために磁気シールド工事が必要です。
条件をお伺いして、用途に応じた設計計画を立てます
設計計画が実現可能なことを確認したら、具体的な設計調整をします。
詳細設計を行い、施工図の作成及び部材製作に入ります。
1ヶ月
現場管理者や設計担当者が、工事の進捗状況を確認します。
数々の段階を経て、工事が完了します。
工事完了後、検査スタッフが性能値の確認測定をいたします。
2ヶ月
性能点検を実施して問題がないことを確認したのち、お客様へお引き渡しいたします。これで工事は完了です。
シールドルームの性能劣化を防ぐためにも定期的なメンテナンスをお勧めします。
運用開始